コミュニケーションの社会心理学

Genre:心理学/社会心理学/コミュニケーション

編者:岡本真一郎

出版社:ナカニシヤ出版

発売日:2023年3月

評価:

評価 :4/5。

概要

人と人との関わりの中で生まれる「伝える」「関わる」「動かす」といったコミュニケーションの基本を、社会心理学の視点から体系的に解説した一冊。対人関係、説得、集団行動、印象形成など幅広いテーマを扱いながら、日常生活やビジネスシーンにも応用できる知識を整理しています。理論中心でありながら具体例も交え、コミュニケーションの仕組みを理解できる構成になっています。

【読むと得られるメリット】


コミュニケーションの社会心理学 伝える・関わる・動かす [ 岡本 真一郎 ]
(広告)

相手の質問時間が自分より長いと望ましく感じ、客観的な情報を多数提示する相手は活動的であるなど、発言の仕方が相手への印象に影響を与えていた。

p23
【感想】
『コミュニケーションの社会心理学 伝える・関わる・動かす』は、コミュニケーションを「なんとなく」ではなく、理論でしっかり理解したい人に向いている一冊です。
いわゆるハウツー本のような即効性のあるテクニック集ではなく、社会心理学の知見をベースに「人はなぜそう行動するのか」を丁寧に解説している点が特徴です。

以下、印象に残った内容をまとめておきます。

・受け手に脅威や恐怖感を与えることで行動変容を促す手法
 例:喫煙を続けると肺疾患や循環器系の疾患リスクが高まる
・ウィッテとアレンのメタ分析では、r=.297という中程度の効果量が確認されている
・ただし、脅威情報を提示するだけでなく、それを回避するための具体的な対処方法をセットで示すことが重要

→ 不安を与えるだけでは逆効果になり得る点が実務的にも参考になります。

・促進的発言行動は、チームのイノベーションを通じて生産性を高める
・抑制的発言行動は、チーム内のモニタリングを促し、安全性を高める
・特に心理的安全性が十分でない組織では、問題点を指摘する抑制的発言が重要な役割を果たす

→ 「発言の種類によって組織への影響が変わる」という視点は、チーム運営にも応用しやすい内容です。

内容はややアカデミック寄りですが、その分、対人関係や説得、印象形成といったテーマを体系的に整理できるため、表面的なテクニックではなく応用できる土台が身につきます。
章ごとにテーマが整理されているので、必要な部分だけ拾い読みすることも可能で、読み切れずに終わるリスクも比較的低い印象です。

一方で、実践テクニックをすぐ使いたい人にとってはやや抽象的に感じる部分もありますが、「なぜうまくいくのか」「なぜ伝わらないのか」を理解するには十分な内容です。
コミュニケーションを根本から見直したい人や、心理学ベースで人間関係を理解したい人にとっては基礎固めの一冊だと感じました。

PAGE TOP